A Different kind of truth

初期ブラウンサウンドはファズなのか?

Soldano, Bogner,Mesa Boogie Amp

80年代ハードロックでは、ホセやリージャククソン改造のようにアンプにブースターを内蔵したり、オーバードライブ等のペダルをブースターとしたりして、プリアンプの真空管を歪ませてオーバードライブサウンドを得ていました。アンプとしては、プリアンプ、パワーアンプともシンプルな構造でした。

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プリアンプの真空管を歪ませるのなら、プリアンプを多段型にする方法も考えられます。この多段型のプリアンプで歪みを得る方法としては、1970年代初頭にランドールスミスが、Mesa Boogieアンプで確立しました。ブースタータイプとの違いは、ブースターがトラジスタもしくはOPアンプでは無く、真空管あることです。また、それ以前の真空管アンプもプリアンプの真空管は1段では無いものが多いですが、それらはトーン補正用で、Mesa Boogieでは積極的に歪み用のゲイン段、カスケードゲイン回路としたところが大きな特徴です。

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1段ではそれほど歪まない真空管プリですが、ゲイン段数を増やすことで歪みを深くすることができます。80年台のBoogie MkIIでは5段ゲインまで進化し、きめ細かで深い歪みを得ることが出来ました。このMKII以降のハイゲインアンプは、ナイトレンジャーのブラッドギルス、スティーヴルカサー、ジョンサイクス、そしてメタリカらが使用し、ハードロックサウンドの流れを変えていきます。

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マイケルソルダーノは、元々は FenderのBassmanのモディファイからスタートしますが、やがてBoogie MkIIのモディファイも始めます。その経験を活かし、有名なSLO(Super Lead Overdrive)を開発します。ネーミングこそマーシャル風ですが、中身はカスケードゲイン回路であるMesa Boogie系ですので、どちらかと言うとアメリカンなサウンドに感じます。

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SoldanoをベースにPeaveyの5150を開発したのは有名な話でしょう。5150のプリ部は、6段ゲインだそうです。FUCK以降のエディのギターサウンドは、ブースター型マーシャルサウンドからカスケードゲイン型のモダンハイゲインサウンドと大きく変化しました。

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ラインハルトボグナーもソルダーノと同じようにカスケードゲイン型のハイゲインアンプEcstatcyを開発し人気を得ました。単純に真空管プリアンプをカスケードしただけでは、良いトーンは得られませんから、いくつかのテクニックと味付けが必要なのでしょう。同じような成り立ちでもEcstacyは、SLOとはかなり違ったトーンに感じます。80年台後半からカスケードゲイン回路タイプのアンプは、モダンハイゲインアンプとして各社から発売されていきます。そして、デュアルレクチファイアーで完全に新しい時代を作ったと言っても言い過ぎではないでしょう。