A Different kind of truth

初期ブラウンサウンドはファズなのか?

Gibson P.A.F. Humbucker

Gibson  Patent Applied For Humbucker

オリジナルのP.A.F.ハムバッカーは、どんな音楽にでも合う万能のピックアップでは無く、とても限定的な音楽、初期のブルースロックに最適なピックアップだと思っています。良く言われる枯れたサウンドですが、歪んでいないのに歪んでいるように聴こえる倍音を良く拾うトーンのことだと思っています。アンプやエフェクターで実際に歪ませて倍音が増えているように聴こえるトーンに比べ、立体的、有機的(オーガニック)に感じると思います。ですので、ハードロック系で大きく歪ませるような場合は、P.A.F.ハムバッカーよりもモダンなピックアップの方が適しているでしょう。P.A.F.系のハムバッカーが必要かどうかは、実際にブルースロックのアルバムで確かめてみると良いでしょう。

Eric Clapton

なんと言ってもエリッククラプトンでしょう。レスポールとマーシャルのコンビネーション、真空管アンプによるナチュラルオーバードライブサウンドの基本と言えるでしょう。1960年製レスポールのネックピックアップは、カバー無しのダブルホワイトのP.A.F.でした。このアルバムで使ったマーシャルアンプが、ブルースブレーカーモデルと呼ばれるようになったのは、有名な話です。アンプ直ではなく、ダラスレンジマスターでブーストしていたとも言われています。

◇Duane Allman

デュアンオールマンの1959年製のチェリーバーストには、それ以前使っていた1957年製のゴールドトップのピックアップを移植していました(直流抵抗値は二つとも7kΩ程度)。1971年6月に購入したダークバースト(ホットランタ)は、直流抵抗値8.7kΩと8.3kΩとも言われています。アンプは、マーシャルもチャンプも使っていたようです。エリックよりもファットなトーンのように感じます。

◇Mike Bloomfield

マイクブルームフィールドの1959年製のレスポールを1965年製のフェンダーツインリバーブにインプットした非常にクリアーなトーンは、絶品でしょう。イギリス人は、湿ったダークなトーン、アメリカ勢は乾いたブライトなトーンを好むような傾向を感じます。

◇Peter Green

クラプトンの後任でブルースブレイカーズに参加したのが、ピーターグリーンです。レスポール、グリーニーは、ゲイリームーアに渡り、現在はカークハメットの元にある様です。センターミックスでフェイズサウンドになるようですが、逆方向にリワインドされたとも言われています。

◇Paul Kossoff

ポールコゾフの1959年製レスポールは、アンプ直のかなりストレートなサウンドです。ブリティッシュ勢としては、比較的乾いたトーンに感じます。コゾフのレプリカピックアップは、アルニコ3を使ったものが多い良いに思います。アンプは、各種マーシャルの他、オレンジやスーパーリバーブも使っていたようです。歪んでいないのに歪んでいるように聴こえるトーンが、分かりますでしょうか。

◇P.A.F.とPAF

Patent Applied Forのように長い言葉を短縮する場合は、P.A.F.のようにピリオドで区切り、ピーエーエフと発音するのが一般的です。一方、PAFはディマジオ登録商標で、法則的にはピリオドで区切らない場合は一つの単語と見なされるので、本来はパフと呼ぶのが正しいと思います。ですが、U.S.A.をUSAと書いてもユーエスエーと読むように、海外ではPAFと書いてもピーエーエフと発音する人がほとんどです。日本では、ディマジオのPAFがパフとして知られたため、P.A.F.と書いてあってもパフと読む人が多いようです。