A Different kind of truth

初期ブラウンサウンドはファズなのか?

Dimarzio FS-1 (Fat Strat Pickup) Users

ディマジオFS1ユーザー

ディマジオが70年代に発売開始したストラト用のピックアップです。元々は、ファット・ストラトというモデル名でしたが、ストラトフェンダー社の商標なのでFS-1に名前が変更になっています。最近では、めっきり人気が無く「使えないピックアップ」との評判のようですが、かつてはそれなりに人気がありました。初期のイングヴェイマルムスティーンも使っていましたが、その他、どんなユーザーがいたのでしょうか。

◇Mark Knopfler

ダイアストレイツ期のマークノップラーが、1977年から79年頃にメインで使っていた61年製と言われるストラトキャスターはFS1を使っていたようです。有名な悲しきサルタンは、恐らくこのギターのように思います。マネーフォーナッシングしか知らない人もいるかも知れませんが、渋いギターを弾く素晴らしいギタリストです。

◇Edge

U2のエッジが使っていた黒のストラトのブリッジピックアップは、ディマジオのファットストラトが使われていたと言われています(ネックとセンターはフェンダー純正)。当初はブリッジピックアップをメインに使っていたようですが、ヨシュアツリーの頃から、ネックもしくはセンターをメインで使っているようです。この黒いストラトですが、ピックガードが黒いので70年代後半のストラトかと思っていましたが、73年製のストラトで、ピックガードを交換したものと言われています。ブラッディーサンデイやニューイヤーズデイは、ファットストラトの音かも知れません。

David Gilmour

デヴィッドギルモアのブラックストラトディマジオのファットストラトが使われていたのは有名だと思います。実際に取り付けたのは1976年で79年にダンカンのSSL-1Cに交換されます。SSL-1Cは、SSL-1のカスタムヴァージョンで現行のSSL-5と同じモノのようです。アニマルズの音は、ファットストラトのようです。

◇Rory Gallagher

1980年代以降のロリーギャラガーのストラトのブリッジピックアップもディマジオのファットストラトが使われていたと言われています。フェンダーリードIIのX1ピックアップも試したこともあるようです。

ディマジオFS1

この4人のギタリストは、ストラト使いとしても有名だと思います。イングランドスコットランドアイルランド出身と言うのも興味深いです。70年代後半くらいから、ブライトすぎるストラトのブリッジピックアップをファットストラトに交換するギタリストは、多かったのかも知れません。当時は、ロックはアメリカンよりもブリティッシュの時代ということもあったのでアメリカ人ギタリストの使用例は、見つかりませんでした。マークノップラーはかなりクリーンですが、歪ませたファットストラトの音は、どことなく哀愁を感じさせてくれます。90年代以降は、ロックの中心がアメリカに移ったこと、ストラトによるブルーススタイルが見直されたことによりヴィンテージ系のピックアップが、好まれるようになり、FS-1は忘れられた存在になったのかも知れません。現代的な音では、無いかもしれませんが、今でも魅力的な音だと思います。