A Different kind of truth

初期ブラウンサウンドはファズなのか?

MXR Overderive Model 164

1974年にMXRは、Distortion+と言う画期的なエフェクツペダルを発売しました。ランディローズの使用で有名ですが、最近では、スティーヴ・ヴァイやデビュー前のエディヴァンヘイレンが使っていたことも明らかになっています。しかし、70年代後半、BOSSやIbanez(Maxon)から低価格で高性能なエフェクツペダルが登場し、競争力を失っていきます。1981年に安価な日本製品に対抗するため、Commandeシリーズを発売します。

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command(コマンド)でもcommando(コマンドー)でも無く、正しくはcommandeシリーズです。コマンディと読むのでしょうか?1980年頃には、従来のReferenceシリーズでもLED、ACアダプタージャックを採用しましたが、Commandeシリーズでは、コストダウンのためLexian社のポリカーボネイト製を使用し、ジャック位置をトップ側に移動、大型のフットスイッチを採用します。しかし、1981年の為替レートは1ドル220円でしたので、日本で1万円の製品は40〜50ドル、逆にアメリカで100ドルの製品は22000円、見た目の安っぽいCommandeシリーズには、難しい戦いだったかもしれません。国内で見かけることは全く無いので、恐らく売れ無いだろうと判断し、国内販売はされていなかったのでは無いかと思います。海外でもそれほど売れなかったのか、MXRは1984年に製造を中止します。

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 commandeシリーズの歪みモノは、DistortionではなくOverdriveです。ジムダンロップ以降は、Overdriveもありますが、MXR期では唯一のOverdriveのように思います。日本製品への対抗なのか、単に名称を変えただけなのかは、気になるところです。しかし、動画もレヴューも全然見つかりませんでしたので、購入して確かめることにしました。

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サイズはBOSSよりも少し大きめですが、プラスチック筐体のためすごく軽いです。スイッチは、真上から踏む感じですと誤作動はほとんどしません。Distortion+と比べると歪みはやや少なめで音量は大きめです。Distortion+の廉価版では無いように思います。BOSSのSD-1に似ていますが、歪みは多めの感じです。音域的には、ミッドハンプは弱くアメリカンハードロック風のトーンに感じました。

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気になる中身ですが、オペアンプDistortion+の741系では無く、とても有名なRC-4558P MALAYSIAが使われています。やはり日本製のオーバードライブを意識していたのかもしれません。ただし、ぎっしりパーツの詰まった日本製のオーバードライブに比べるとかなりシンプルなようです。こんなにスカスカならもっと小さい筐体でも良いような気もしますが。。。この辺が、アメリカ的なサウンドの秘密かもしれません。サウンドは、かなり好みなのですが、プラスチック筐体のためシールド性能が低いのかノイズが多めに感じるのが、残念なところです。