A Different kind of truth

初期ブラウンサウンドはファズなのか?

EP3 Big Muff

ブラウンサウンドのトーンベンダーMk2の可能性を確かめるためにレプリカを入手してみました。始める前は、そんな可能性ないだろうと思っていたんですが、意外とそれっぽい感じで、正直、意外とアリかなって思いました。そもそも真空管アンプ、ファズ、オーバードライブてどう違うって考えたことありますでしょうか?アンプライクなペダルとオーバードライブってどう違うのだろうか?そもそも歪みペダル とプリアンプってどう違うのだろうか?そんなことを考えるようになりました。

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真空管アンプ真空管で、ファズはトランジスタで、オーバードライブ・ディストーション系ペダルはダイオードで歪みを作る。結局、歪みを作る要素の違いが歪みの違いを産むのでしょう。いくらブースターを掛けて派手に歪ませても真空管ではモコモコに歪むだけ、トランジスタのように激しくてもキレイな歪みは得られない。初期ブラウンサウンドトランジスタの歪みのように感じました。

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トーンベンダーmk2で無いとすると他のファズの可能性も浮上してきました。トーンベンダーで無い方のファズbox#2の筐体は、ビッグマフのように見えます。

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 ビッグマフには、いくつかヴァジョンがありまして、ノブの間隔からするとラムズヘッドよりかは、トラインアングルマフのようにも見えます。 

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ヤングギターのイラストに近い感じですとギルドのフォクシーレイディにも似ています。

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この初期のモデルの中身は、エレクトロハーモニクスではなく、モズライトのファズライトのようです。

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筐体の形は、モズライトのファズライトのようにも見えます。このようにファズは、派生モデルやヴァージョン違いが多い上、未だに知られていないようなモデルもあります。ブラウンサウンドが、ファズだとしてもそのモデルを特定するのはかなりの困難が予想されるのでした。

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Old Mighty Mite Pickups

エディが、1stアルバムのレコーディングで使っていたと言われるマイティマイト製のピックアップですが、幾つか入手してみました。

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これは、レアなオリジナルケースです。ディマジオとほぼ同サイズですが、色が少し異なります。

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Model #1300 Distortion Humbucking Pickups

基本的には、ディマジオのスーパーディストーションのコピーモデルですが、ボビンに孔がないので識別できます。マグネットは、ディマジオ同様に厚めのセラミックですが、コイルワイヤーの材質、ターン数が違うと言われています。

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Model #1800 Humbucking Pickups

モデル1300のポールピースをスラッグに変更したものです。ボビンをよく見ると、他社で孔の空いている位置に丸いモールドの跡が確認できます。コイルを保護するテープが、ボビンに埋まるように巻かれているのも特徴でしょう。

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Model #1400 Vintage Humbucking Pickups

外観はモデル1300と似ていますが、コイルワイヤーの太さが異なり直流抵抗値が小さいです。マグネットは、他モデル同様の厚めのセラミックで、おそらくディマジオのスーパー2に相当するものと思われます。

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モデル1300とモデル1800は、ブラス製と思われるベースプレートです。

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錆が多くてわかりにくいですが、モデル1400のみクロームカラーのベースプレート(材質は不明)です。モデル1300とモデル1400は、ベースプレートで見分けることができます。

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ボビンに孔はありませんが、モールド跡のようなものが確認できると思います。ポールピースの形状は、識別できません。

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特徴のあるコイルの保護テープの巻き方が、確認できると思います。ベースプレートの色は確認できません。

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ストラトのピックアップをシャークに移植したとすると、ヘキサポールピースなのでモデル1300(もしくは1400)でしょう。

Ep2 Jimmy Page

ブラウンサウンドはファズなのだろうか?だとしたらそのファズは、何なのだろうか?

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エディは、クラプトン好きを公言していますが、使用機材に関してはジミーペイジと重なるものが多いようです。サウンド的には、オールドP.A.F.があればよかったので使用頻度は低いですが、ギブソンのダブルネックやレスポールは、ジミーの影響で入手したのではないでしょうか。

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マーシャルアンプにマエストロのエコープレックスの組み合わせ。

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MXRのフェイズ90もジミーの影響のように思えます。そう言えば、ドロップDチューニングもジミーの影響のように思えます。

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そして、ジミーと言えば、何と言ってもトーンベンダーマーク2でしょう。ヤードバーズテレキャス時代から使用が確認されています。

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ツェッペリンレスポールの時もジミーサウンドを語る上で決して外せないのが、トーンベンダーでしょう。さてこのトーンベンダーですが、こんなサウンドです(演奏はかなりやばいですが)。一般的なジリジリ、もこもこのファズのイメージとは、違うと思います。

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 エディのファズボックス#1は、筐体に線のような縁があるように見えます。ひょとすると貴重なVOXのトーンベンダーマーク2なのかも知れません。トーンベンダーマーク2は、製造数は非常に少なくかなり入手困難ですので、盗難にあったためにそのサウンドを再現できなくなったという説もあり得そうです。また、マーク2の回路自体も21世紀になるまで謎に包まれており、リイシューものですら間違った回路であったことは、今では有名な話です。本物は入手困難、正確なレプリカも無いとなると誰も再現できなかったのも仕方なかったかもしれません。

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果たしてトーンベンダーマーク2が、ブラウンサウンドの正体なのでしょうか?それともマーシャル購入以前に使っていただけなのでしょうか。

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MAXON U-1000 Pickup

70年代のGRECOのU-D,U-1000,U-2000は同じピックアップらしいとのことですので、77年製のUシリーズと思われるピックアップをテストしてみました。

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U-2000は、ハムバッキングピックアップ特有の粘りのあるサウンド、高音部の泣きが特徴。U-1000は、くせのないハムバッキングピックアップ。ウルトラパワーと温かみある音質が特徴。以前、SUPER70(U-1000)も試してみましたが、アルニコ8なのでパワーがあると言われていますが、それほどパワーのあるタイプではありませんでしたが、U-2000も同程度のパワーのように感じました。GRECO(MAXON)のピックアップは、直流抵抗値は8KΩ以下とT-TOPの同程度ですが、AWG42の直径0.064mmよりやや太い0.065mmの銅線を使っていたため、少しブライトなのではないかと考えています。

フジゲン製のレスポールで"ファズ"を使用しテストしてみました。ちょっと音量が大きいので注意願います。

youtu.be

以前、ファズ以外で試した時は、全然良く感じなかったのですが、Uシリーズのブライトで低めのパワーは、ファズとの相性は良く全体的に雰囲気が出ているように思います。

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Ep1 Uncharted roads

改造したファズボックスの正体は、一体なんなのだろうか?

フランケンからは、フランジャー、MXRのグライコ、BOX1へ、そしてフェイザー、エコープレックスを通りアンプ、または直接アンプへ。シャークからは、ボスのグライコ、BOX2そしてアンプへ。スイッチボックスとして、シャークとフランケンの切り替え、あるいは予備のアンプへの切り替えをしていると考えられるます。しかし、本当にスイッチボックスの機能だけなのでしょうか?

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不可解な点としては、フランジャーフェイザーの位置です。フェイザーとエコーは、同時に鳴らすためにBOX1の後なのでしょうか?

古いMXRのフェイザーは、現行のものに比べかかりが弱く、アンプ側で歪ませた場合、効果が弱いのではという疑問があります。もしBOX1が歪みペダルだとすると、効果の弱いフェイザーはBOX1の後ろ、効果の強いフランジャーはBOX1の前の位置に置いたのかもしれません。。。

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一方、1stアルバムの歪みは、アンプ直とは思えないほど歪んでいます。また、ハイゲイン真空管アンプの歪みとは異なった種類の歪みのように感じます。 そこで、本当に歪みペダルを使っていたのではないかと考えてみることにしました。

多くの人は、ファズは汚い歪み(80年代は特にそう思われていました)であり、78年にはファズ以外ではMXRのディストーションくらいしか歪みペダルはありませんでした。

つまり、ファズは汚い歪みだからあり得ないと言った先入観にとらわれ、誰も試してはいないのではないだろうか。可能性としてゼロでは無いのならファズを試してみてはどうだろうか。試してみないことには、ファズの可能性を否定することはできないではないだろうか。

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ブラウンサウンドはファズなのか?それは、誰も挑戦したことのない未知の領域。

信じるなら進め。道なき道でも。それがファズレジスタンス。

前人未到の道がいかに険しく恐ろしい世界なのか、その時には知る由も無かった。。。。

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Ibanez Super 70 Pickup

エディが、アイバニーズのエクスプローラーのコピーモデルNo.2459を使っていたのは有名な話です。

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実際に使い始めたは76年の始めころ、ちょうどアメリカで発売になった時期のようです。ボディ材はアフリカンコリーナフィニッシュのセンで、ピックアップはMAXON(日伸音波)製のスーパー70でした。

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シャーク時には、マイティマイト製のピックアップでしたが、ボディカット以前はオリジナルだったと思われますので、実際に幾つか入手してみました。

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 こちらが、当方所有の76年製のスーパー70です。Tの刻印こそありませんが、ギブソン社の通称Tトップをモデルにしているように思われます。76年途中にベースプレートのスタンプの文字が、小さくなるようですが、こちらは大きい文字のタイプです。輸出仕様(IBANEZ)がsuper70、国内仕様(GRECO)がU1000と言われていますが、グレコのギターの中にもsuper70が混在していたようです。ベースプレートにハンダの跡がありますが、当時はアースを配線していたからのようです。

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 Grecoのハムバッカーに関しては、かなり詳しいサイトがありましたので、参考にさせて頂きました。まとめてみますと、スーパー70も含めてUシリーズは、74年に発売になり78年頃まではほぼ同仕様(前期仕様)で、その後セラミックマグネットに変更。80年頃にベースプレートの形状変更、ポッティングに仕様変更し、U1000はセラミック、U2000はアルニコに分かれているようです(後期仕様)。この頃に富士弦に製造を移し、82年にはSCREAMIN(セラミック)、DRY(アルニコ)が発売になります。おそらく、後期仕様のU1000がSCREAMINに、U2000がDRYにモデルチェンジといった感じなのでしょう。

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ロームカバーが、欲しかったので77年製のUシリーズ(前期仕様)も入手しました。

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ダブルクリームも欲しくなり、80年製のU1000もしくは、U2000も入手しました。ドライやスクリーミンと異なり、スクエアウィンドウ風の孔はありません。

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80年製の後期仕様では、ベースプレートの配線孔が2つになり、ポッティングされているのが確認できると思います。裏側の外観は、ドライやスクリーミンと同じように思われます。80年代半ばにsuper70は復活するのですが、ベースプレートの形状が異なり、マグネットもセラミックになってます。

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Marshall Amp

マーシャルアンプの歪みは、そんなに素晴らしいのだろうか、60〜70年代、マスターヴォリューム無しの時代の真空管アンプの真相に迫ってみましょう。

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なんと言ってもブルースブレーカーズ時代のエリッククラプトンが、その始まりでしょうか。P.A.F.ハムバッカーの付いたレスポールにコンボアンプ。オールドマーシャル神話、そしてP.A.F.神話の誕生。しかし、この時エリックは、ダラスレンジマスターというトレブルブースターを併用していたと言われれています。つまり、真空管アンプの歪みだけではなく、ゲルマニウムトランジスタの歪みをちょっと加えていたのが、このトーンの秘密だったのでしょう。

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そもそも真空管アンプの歪みの特徴は、他のデバイスに比べて歪み易いことにあります。つまり、弱く弾くと歪まず、強く弾くと歪む、ピックングに対するレスポンスの良さ。例えば、アンプ直結のフリーのポールコソフのような、現代ではクリーンと呼べるような領域。それこそが、真空管アンプの最も得意とする領域で、歪みの質はソフトでマイルドですので、あまりハイゲインには向かないのでは無いでしょか。

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60年代からのファズを併用した激しい歪みは、70年代になるともう少しマイルドな歪みが求められるようになります。例えば、ジェフベックは、トーンベンダーをマイルドに改良したカラーサウンドのパワーブスーター(オーバードライバー)を使い、真空管アンプともファズとも違う、立体的で艶のあるギターサウンドを得るのに成功しました。ところが、80年代に入るととボスやラットといったICを使った歪みペダルを使ったため、ジェフのサウンドも艶の無い平坦なトーンになってしまうのでした。

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パワーブスーターとマーシャルアンプの組み合わせは独特な艶のあるサウンドでアランホールスワースも一時、使用していたと言われています。アランも唯一売って後悔した機材は、パワーブスーターだとコメントしていました。

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ハードロック系では、ジミヘンドリックスに始まり、リッチーブラックモア、そしてウリロートが、ストラトにファズフェイスやシャーラー製ファズで極上の艶のあるディストーションサウンドを奏でていました。80年代に入り、マスターヴォリューム付きのアンプやボス等のオーバードライブを併用したアンプのトーンが、つまらなく感じるのは、私だけなのでしょうか。