アーケインインクのブラウンバッカーが気に入ったので、ブルドーザーというP.A.F.系ピックアップも購入してみました。
ブラウンバッカーは島村ブランドのストラト、ブルドーザーはフジゲンで一番安いレスポールモデルに載せました。
今回は、ラージリバーブをかけてみました。(ブラウンバッカーもリバーブを追加しました。)
リバーブをかけるとそれっぽくなりますね。こちらもとても優秀なピックアップだと思います。
「ヘッドアンプのラックの中には、BOSSのイコライザー、エコープレックスの本体、”カスタマイズしてあるファズボックス"、予備のフランジャー。」とエディ本人の発言があります。ブラウンサウンドの秘密は、このファズボックスなのでしょうか?果たしてその正体は、歪みペダルなのでしょうか?
こちらは、1stツアーの時ですが、日本でのものとほとんど同じようです。つまり、ファズボックス#1、#2ともあります。一説では、ファズボックス#1は、ツアー中に紛失(盗難)してしまったようです。
そして、2ndアルバムレコーディング時には、ファズボックス#2が確認されます。ファズボックスが、スイッチボックスだとしたらスタジオで使う可能性は低いですから、中にはブースター、もしくは歪みペダルの可能性が高いと思われます。となると、1stアルバムと2ndのサウンドの違いは、ファズボックス(中身は歪みペダル)が違うからという可能性が出てきます。
1stツアーの時に目撃されたカラーサウンドのトーンベンダーですが、2ndアルバムレコーディング時には、マイケルアンソニーの足元にあります。但し、購入したのはエディで1stアルバムレコーディングに使っていたという可能性もなくはないでしょう。
2ndツアー時の足元は、ファズボックス#1、#2とグライコは無くなり、フランジャー、フェイザーとエコープレックスのスイッチだけです。
インタビュー通りなら、 エコープレックス本体とグライコ、ファズボックス(恐らく#2)が、アンプヘッドのラックの中にあるんでしょう。
その後は、エフェクターボードになるのですが、詳細は不明です。やはり、ファズボックスは、スイッチボックス(ラインセレクター)ではなく、ブースター、もしくは歪みペダルであり、#1、#2では中身が異なる可能性が高いでしょう。
ブラウンサウンドと言えば、あまり歪んでいないのに歪んで聞こえるのが特徴ですが、その一因は、やはりリワインドしたP.A.F.ハムバッカーでしょう。電気的に歪が生じると倍音が増えた様に聞こえますが、ピックアップ自体が倍音をよく拾うと歪みが少なくても歪んでいるように聞こえます。磁力の弱いP.A.F.系ハムバッカーは、倍音をとてもよく拾うのでアンプ側が歪んでいなくても歪んでいる様に聞こえます。
最近は、ハンドワウンド、ブティック系と言った高級ピックアップメーカーがたくさんあり、ブラウンサウンドを謳ったモデルも数多くあります。アーケインは、ジョージリンチ、フィルXと言ったギタリストの他、charvel、bogner 向けの製品もある注目のメーカーです。
ダンカンの78モデルよりも出力は低めで、倍音感、音のレンジとも格段に良いと思います。ダンカンは、最近のブティック系に比べると荒々しくて80年台メタルって感じます。Arcaneは、スッキリして今風なヴィンテージでとても気に入りました。
確証バイアスとは、仮説を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと。
今からちょうど40年前にレコーディングされたVan Halenのデビューアルバム。そのギターサウンドは、未だに再現することは難しく、本人さえも再現できないとも言われている。
ブラウンサウンドの答えは、改造したオールドマーシャルを電圧を変えているというのが定説となっており、何人ものアンプビルダーがチャレンジしているが、あまり成功しているとは言えないだろう。これは、今のアンプビルダーがダメでホセだけが天才なのだろうか?いや、むしろ改造オールドマーシャル説自体が、間違っているのでは無いかとの疑念がわいてきます。
実は、ユニボックスブースターのクローンを入手し、ブースターとして使用したところかなりブラウンサウンド感が増し、アンプ直説について否定的になりました。そこで、かつてのエディのインタビューを読み直してみることにしました。 答えは、79年11月号のインタビューにありました。
ーエフェクツは?ー
「いつも通りだよ。・・・エコープレックスの本体、”カスタマイズしてあるファズボックス"、予備のフランジャー」
エディは、アンプ直では無く歪みペダルを使っていた。これが、ディファレントカインドオブトゥルースなのでは無いでしょうか。
78年9月号の記事ですが、トーンベンダーにディストーションユニットと書かれていますが、先入観無しだと歪みペダル併用と考えるのは、とても自然なことのように思われます。エディ本人が、歪みペダルを使っていると言っているのは、反証する情報であり、無視された。これこそ、確証バイアスでしょう。さてファズボックスの正体とは。
EVHブラウンサウンドと言っても時期によって大分違いがあります。1stアルバムでの激しいでディストーションサウンドを初期ブラウンサウンドと呼ぶことにします。2ndアルバム以降の改造マーシャル風のサウンドが一般的なブラウンサウンドでしょうか。いわゆるブラウンサウンドを謳ったアンプやペダルはこの頃イメージでしょうか。ミュージックマンのシグネチャーギターにピーヴイーのアンプ以降のハイゲインサウンドは5150系ブラウンサウンドと呼ぶことにします。
多くの人がチャレンジした初期EVHブラウンサウンドは、謎が多く未だに再現できていないように思います。デビュー直前の写真では、100Wのマーシャルの他に50Wのマーシャル、VOXのアンプ、そしてあまりにも有名なヴァリアック(ヴォルテージレギュレイター)が見えます。マーシャルアンプが、220ボルト仕様であったため、電圧を上げて使っていたと言われます。 2ndアルバム以降はともかく、1stアルバムのサウンドは正規の電圧を変えた程度とは思えない程、とても歪んでいますので、何かブースターの類を使っていたのではという疑惑が持たれます。
例えば、リッチーブラックモアは、アイワのテープレコーダーを改造したトレブルブースターを使っていたのは有名です。
ジミーペイジは、エコープレックスをブースター的に使っていたと言う仮説からEPブースターなんかが発売されています。
エコープレックス程度であれほど歪ませられるかと言う疑問もありますが、エディに関しては、エコープレックスは2台ともエコーとして使っているので、ブースターとして使っていたとは思えません。そこで、浮上してきたのがunivoxのエコーEC80です。こちらは、1台は予備ということですが、これだけ予備を用意しているのは不自然な感じもします。
univoxのエコーは、プリアンプ部の増幅率も高くブースターとして使えた可能性も高いという噂です。と言うのは、 エコーのアンプ部は世界初のオーバードライブと言っても良いUNI-DRIVEというエフェクターとほぼ同じらしいからです。
実際にジミーペイジは、エコープレックスはエコーとして使い、ブースターとしてUNI-DRIVEを使っていた時期もあります。時期的には、UNI-DRIVEかどうかは不明ですが、LED ZEPPELINのライブアルバムを聴くとペダルで歪みを切り替えているので、何らかのブースター(歪み)系ペダルを使っているのは確実でしょう。ちなみにジミーペイジマニアの要望でUNI-DRIVEのクローンペダルは、いくつか発売されています。やはり、エディも何らかのブースターを使っている可能性は高いと思われます。さてその正体は、univoxのエコーなのでしょうか?これから色々と検証していきます。
ここで、フランケンシュタインの歴史を振り返ってみましょう。
*デビュー前
・サンバーストのフェンダーストラトにダブルクリームのマイティマイトのハムバッカーです。ブリッジや配線系は、フランケンに引き継がれたかも知れません。
・シャーベル(ブギーボディ)の無塗装ボディに自作ピックガードにゼブラのマイティマイトのハムバッカー。ネックは、おそらく上記のフェンダーでしょう。
・一見、サンバーストとは別の黒のフェンダーのストラトのようですが、上の恐らくシャーベルを黒にペイントしフェンダー製ピックガードを付けたようです。ピックアップは、引き続きゼブラのマイティマイトのハムバッカー。
*VAN HALENはレコーディング(1977/8/31〜9/8)後に白黒フランケンが登場。ネックを取り替え、ピックガードも上記の無塗装のものです。
・白黒ボディに2つのノブにシャーベル(ブギーボディ)のネック(1977/9)。ピックアップは、P.A.F.では無くステッカーナンバードでしょうか。その後、1ノブ化しVAN HALEN 1st Tour (1978/3〜12)で使用します。
*Van Halen II(1978/12~1979/1)をレコーディング。ここから先は、有名なんで簡単に紹介します。
・レコーディング終了後(1979/1)に赤をペイント。
・VH2ツアー(1979/3~10)の途中でスネイクに付いていた黒ヘッドのネックに交換。ピックアップは、熱で変形したり、ニッケルカバーの時期もありました。
*Women and Children First(1979/12~1980/2)
・(World Invasion)ツアー(1980/3~11)は、フロイドローズが初登場。黒ヘッドからバンブルビーのネックを移植。ピックガードも少しまとめに。ダブルクリームのピックアップは、セイモアダンカン製でしょうか。
*Fair Warning(1981/3~4) ・FWツアー(1981/5~10)ピックガードが変更、ブリッジ部にコインが取り付けられています。ピックアップは、黒ボビンになります。
*Diver Down(1982/1~3)
・DD(Hide Your Sheep)ツアー(1982/7~1983)では、21Fのネックを22Fのネックに交換したり、ファインチューナー付きのプロトタイプのフロイドローズに変更。
・US Festival(1983/5/23)では、クレイマーのネックが取り付けられ、フロイドローズも新しいものになります。おそらく、ブリッジ位置を変更しています。1984は、1983年にレコーディング。1984ツアー(1984/1~9)では、5150がメインでフランケンは引退。
・初期の白/黒フランケン
1977年9月8日までレコーディングし、9月16日に初登場した白黒フランケン。この時のダブルブラックのピックアップが、本人の言う通りギブソンES335から取ったPAFシールの貼っているギブソンのハムバッカーなのでしょうか。
・ギブソンES335の製造年代
'61年製の335と言われていますが、ブロックインレイにストップテイルピースなので、62~64年製と思われます。但し、ノブがソンブレロタイプなので65年以降のものをストップテイルピースに改造したとも考えられます。ピックアップの外観は、スクエアウィンドウ付きでT-topでは無いことから、62年~67年のナンバードPAFの可能性が高いです。オリジナルの状態では、7.6k~8kΩのショートアルニコのピックアップであることになります。
・ショートマグネット
古いギブソンのハムバッカーは、コイル保護テープが片側しか巻かれていませんので、表側からマグネットを確認することができます。写真の右側のボビンの下にマグネットがほとんど見えませんので、ショートアルニコで間違いないでしょう。5150のピックアップもショートアルニコのようです。
・リワインドの時期
セイモアダンカン氏が、リワインドの広告を出したのが77年末のことですので、白黒フランケンにナンバードP.A.F.を載せてしばらくはオリジナル状態で、78年のツアー前にリワインドしたと考えるのが良さそうに思われます。