A Different kind of truth

初期ブラウンサウンドはファズなのか?

BBE Crusher

◆Marshall Guv'nor

ディストーションペダルとしては、MXRのディストーションプラス、BOSSのDS1、ProcoのRATの次くらいに有名なのは、MarshallのGuv'norだと思います。ガバナーは、昔から欲しいと思っていたんですが、いつのまにか韓国製の中古でもかなり高価になってしまったのでに、BBEのCrusherを入手しました(再発されるちょっと前の話ですが)。と言うのは、BBEのCrusherはMarshallのGuv'norと回路が同じなんですよね。意外にこれ知られてないケースがあるんですけど。

◆Paul Gagon

ポール・ガゴンは、80年代にジャクソンに所属しており、ジェフ・ベックスティーブ・ヴァイと仕事をしていた方のようです。1984年~85年頃にハンドメイドでペダルを製作しており、それをBBEで製品化したのが、クラッシャーと言われています。マーシャルのガバナーは、1988年に発売になりますのでクラッシャーのプロトタイプはガバナーより先と言うことになります(本当のところは分かりませんが)。全くの想像ですが、ガバナーは小型アンプのLEAD12をペダル用にアレンジしたものなんじゃないかと思っています。

◆BBE Crusherとは

BBEのクラッシャーとマーシャルのガバナーは同じ回路と言われていますが、細かい部分は少し異なるようです。ポール・ガゴンさんによると当時のアーティストからオールドマーシャルのゲインを11に、いやもっと高くとの要望に応え15から20くらいを目指し設計したそうです。ガバナー(とクラッシャー)は、クリッピングダイオードにLEDを使ったハードクリッピングディストーション系)型の回路になります。ちなみにブルースブレーカー(ペダル)は、ソフトクリッピング(オーバードライブ系)型の回路です。クラッシャーの3バンドのEQは、69年製のプレキシと同じそうです。実際の音はともかく、マーシャルのガバナーはJCM800系、BBEのクラッシャーはハイゲイン・プレキシ系と説明に少し違いがあります。その他のクラッシャーの特徴としては、金属フィルム抵抗、高電圧コンデンサ、ミルスペックの基板、トゥルーバイパス、1メガオームの入力抵抗とのことです。

◆BBE Crusherのレビュー

残念ながらマーシャルのガバナーは、所有していないので比較できないので、BBEのクラッシャーのレビューですが、とても気に入りました。オールドマーシャルのゲインを20にしたものとのことですので、ゲインを真ん中の5くらいにすると、オールドマーシャル感があります。ゲイン5以下だとオーバードライブとしてもとても優秀だと思います。トーンがトレブル、ミッド、ベースの3つなのですが、これは実際のアンプにかなり近い感じで、アンプを使い慣れている人でしたらむしろ使い易いように思います。ゲインを5以上にすると1984の頃のヴァンヘイレンとか80年代メタルっぽい感じがします。ゲインを目いっぱいにすると歪みはかなり大きいですが、90年代以降のザクザクしたモダンハイゲインとは異なると思います。

 

Tone Bender Mk1

Jeff Beck's Fuzz

ジェフベック関連の記事を読んでみると意外とヤードバーズ時代の人気も高いように思いました。今回、初めて聴いたヤードバーズでしたが、古いことは否めないですが、かなり気に入ってしまいました。

The Yardbirds

ヤードバーズ時代は、エスクワイヤもしくはレスポールにトーンベンダーMK1と言われています。また、トーンベンダーMK1は、初期の木製とゴールドの金属製の2種類を所有、のちにMK2(マーシャルスーパーファズ)を入手したようです。トーンベンダーMK1は、初期のものはローゲイン、後期のものはハイゲインと言われています。また、トーンベンダーMK1は、よく知られるマエストロのファズの改良回路の他に、ファズフェイスに近いMK1.5の回路も存在するとも言われています。

◇Tone Bender Mk1

トーンベンダーMK1は、ミックロンソンの使用で人気が高く、マンライサウンドは製作者はかなりのミックロンソンマニアのように思います。一般的な歪みの原理は、アンプにしろ歪みペダルにしろ過大な入力を再現出来ず、音が潰れることにより発生します。ところがMK1は、正常に音が出ないように電圧を狂る独特に回路のようです。一般的な歪みは、音量を上げる(ゲイン)と歪みは増えるのですが、MK1はATTACKと音量は全く関係無く、音が頭打ち(クリップ)になる訳ではないので、歪ませてもサステインは増えません。実際、使ってみるとジージー言う割にサステインは、ほとんどありません。ヤードバーズのアルバムを聴いてもそれっぽいサウンドは、ヒーズオールウェイズゼアくらいでしかありません。恐らく、RONNO BENDERのモダンモードは、ミックロンソンの改造ファズを意識しているのでは無いかと思います。

◇ACID FUZZ 1966 ITALIAN

ヤードバーズのアルバムはMK1では無いとすると、中身は別の回路(MK1.5)では無いかとの疑惑が持たれます。現在MK1.5のレプリカは所有していないので、ほとんど同じ回路のイタリア製トーンベンダーのレプリカを試してみました。BIASを調整するとかなりヤードバーズ時代と近いトーンが得られました。MK2ケースにMK1.5回路のトーンベンダーの他に、MK1ケースにMK1.5回路のトーンベンダーもひょっとすると存在したのかもしれません。また、トーンベンダーMK2は、MK1.5にトランジスタを一つ追加したような回路のためMK1.5とMK2は割と近いトーンですので、ヤードバーズ時代にMK2のプロトタイプもしくは、最初期モデルを入手していたのかもしれません。

NEW EVH Frankenstein Pickup

◇NEW  EVH Frankenstein Pickup

ショップ限定品かもしれませんが、EVHフラケンシュタインピックアップに2つのニューモデルが追加されたようです。

◇EVH Frankenstein Classic Humbucking Pickup

・マグネット:アルニコ2

・DC抵抗:8.2k

一つは、フラケンシュタイン『クラシック』ハムバッカーになります。直流抵抗値は、8.2kΩと初期のトーン(P.A.F.系)を狙ったもののように思われます。同じようなモデルで78モデルがレギュラー品としても発売されていますが、そちらは9.0kΩですので別物のようです。ダンカンのアルニコ2のハムバッカーは、パーリーゲイツ(Neck=7.3,Bridge=8.21kΩ)、アルニコ2プロ(Neck=7.5,Bridge=8.4kΩ)、アルニコ2プロSLASH(Neck=8.3,Bridge=8.9kΩ)などがありますが、パーリーゲイツが近い感じでしょうか。表記を見る限りはノーマルスペースのみのようです。

◇EVH Frankenstein Plus Humbucking Pickup

・マグネット:アルニコ2

・DC抵抗:17.32k

もう一つが、フラケンシュタイン『プラス』ハムバッカーになります。直流抵抗値は、17.32kΩとクレイマー5150とMM製EVHギターを狙ったもののように思われます。現行のJBモデルは16.6kΩ、トレムバッカーで17.4kΩになります。このピックアップは、Fスペースと表記されているので、ダンカンJBのトレムバッカーにアルニコ2を載せたものに近いように思われます。

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JEFF BECK

◇ジェフベック

ジェフベックは、活動期間が長いのでアルバムをコンプリートしていませんでしたので、この機会に聴いていなかったアルバムを3枚ほど入手しました。

THE YARDBIRDS / ROGER THE ENGINEER

ベックファンでもトゥルース以降の方も多いんじゃ無いでしょうか。ヤードバーズの時代は、LPが主流では無かったようで、ヤードバース時代の唯一のフルアルバムが、ロジャージエンジニアになります。ヤードバースは、エリック・クラプトンジェフ・ベックジミー・ペイジが、在籍していたことで有名です(日本では3大ギタリスト)。実は、クラプトンが最年少で、ジェフは2番目のようです。この頃のジェフは、テレキャスターにトーンベンダーMk1のようですが、アルバムを通して魅力的なトーンです。トーンベンダーMk1は、動作原理が独特なため再現するのはかなり難しいと思われます。今回初めて知ったのですが、ファズで有名なハート・フル・オブ・ソウルズ(このアルバムには入っていません)は、同じくファズで有名なストーンズのサティスファクションより発売が先だったようです。ロックの歴史的にも重要で、実験的なジェフの初期のギタープレイが聴けるアルバムでした。

BECK , BOGERT & APPICE LIVE

ベック・ボガート・アピス(BBA)は、ライブ盤の方が良いと聞いたことがありましたが、スタジオ盤を聴いて、あまり興味を持てなかったので、ずっと聴かずにいました。やはり、BBAは第1期ジェフベックグループのすぐ後だったらと思いますが、このアルバムはロックバンド時代の集大成と言った感じで、過去の曲も取り上げていたりと中々の力作だと思います。後、ライブと曲順が違うのが良くないと指摘されていますので、以下の正しい順で聴いた方が楽しいと思います。1)Superstition,2)Livin' Alone,3)I'm So Proud,4)Lady,5)Morning Dew,6)Sweet Sweet Surrender,7)Lose Myself With You,8)Black Cat Moan,9)Jeff's Boogie,10)Why Should I Care,11)Going Down,12)Plynth / Shotgun,13)Boogie

JEFF BECK / FLASH

80年代に発売したこのアルバムは、レコード会社の要望でボーカル曲が多く不評の声が多かったため、聴いたことがありませんでした。1曲目から80年代全開のナイルロジャースのカッティングですが、今聴いてみるとレトロな感じが新鮮でした。ブロウバイブロウでインストイメージが定着してしまいましたが、第3期ジェフベックグループと思って聴けば意外と楽しいアルバムです。フロイドローズ付きのジャクソンのギターを使っているようで、強烈なアーミングプレイが堪能できます。この後、フェンダーシグネチャーに移行していきますが、アメリカン・スタンダード・トレモロもナイフエッジの2点支持なので、派手なアーミングプレイは引き継がれているように思います。個人的には次のアルバムのギターショップまでは、今聴いても良いなあと思いました。

Fuzz Face , Tonebender and JB

◇最近のエフェクターの値段

だいぶ、間が空いてしまいました。昨年から、全般的に物価上昇の傾向にありますが、古いエフェクターは高くて手が出せなくなってきました。マーケティングでは、人気商品になると需要が供給を上回り値段が高くなっていく状況です。ファズでは、ファズフェイス系とトーンベンダー系は、最近キャズムを超えたように思います。マフなんかは大分前からマジョリティになっていますし、ベルクロ系なんかはいまだにイノベーターでは無いでしょうか。

◇ファズフェイス系

ファズフェイスは、以前からヘンドリックスファンを中心に人気のペダルでしたが、クラシックロック以外には使いづらい面があり、これをモディファイした製品の人気が出てきました。VemuramのMyriadがそれです。有名ギタリストのデモの完成度の高さが、理由でしょうか。回路はシンプルなので、これ以外にもファズフェイス系はいくつかありますし、シリコントランジスタを使ったものは、それほど高額ではないので、試してみても面白いと思います。

◇トーンベンダー系

トーンベンダーの人気は、BOSSのTB2Wが人気の火付け役でしょう。ただし、こちらは、クラシックロック専用で中々使いどころが難しいと思います。また、トランジスタは、基本的にゲルマニウムで、製品(メーカー)による違いが大きく、人気のメーカーの製品は枯渇していますので、値段は高騰の一方でしょう。もはや手遅れなのか、最後のチャンスなのか、どちらでしょうか。

◇JB

ジェフベックと言えば、第二期ジェフベックグループからゼア・アンド・バック辺りのギターサウンドが好きだったので、カラーサウンドのオーバードライバーのコピー品は、いくつか購入し、どれもかなり気に入りました。オーバードライバーは、基本的にはブースターとしてちょっと味付けする感じなので、ベックファンでもそれほど必携と言った感じでは無いと思います。

ヤードバーズ時代は、トーンベンダーMK1ですが、ジェフのものは初期のゲインが低いタイプのようです。第一期ジェフベックグループ時代は、トーンベンダーMK2にレスポールストラトキャスターのようですが、結構ワウがポイントなのでは無いかと思います。トーンベンダーを購入してからは、第二期より第一期ジェフベックグループの2枚のアルバムがとても気に入っていしまいました。高騰の話をしたばかりでなんですが、この辺のトーンが好きなクラシックロックファンは、Mk2は買っておいた方が良いと思います。音楽の楽しみ、ギターの楽しみが一気に広がると思います。実は、JBで一番好きなのは、グループ結成前、ソロ名義のボーカル曲だったりします。

 

Dimarzio FS-1 (Fat Strat Pickup) Users

ディマジオFS1ユーザー

ディマジオが70年代に発売開始したストラト用のピックアップです。元々は、ファット・ストラトというモデル名でしたが、ストラトフェンダー社の商標なのでFS-1に名前が変更になっています。最近では、めっきり人気が無く「使えないピックアップ」との評判のようですが、かつてはそれなりに人気がありました。初期のイングヴェイマルムスティーンも使っていましたが、その他、どんなユーザーがいたのでしょうか。

◇Mark Knopfler

ダイアストレイツ期のマークノップラーが、1977年から79年頃にメインで使っていた61年製と言われるストラトキャスターはFS1を使っていたようです。有名な悲しきサルタンは、恐らくこのギターのように思います。マネーフォーナッシングしか知らない人もいるかも知れませんが、渋いギターを弾く素晴らしいギタリストです。

◇Edge

U2のエッジが使っていた黒のストラトのブリッジピックアップは、ディマジオのファットストラトが使われていたと言われています(ネックとセンターはフェンダー純正)。当初はブリッジピックアップをメインに使っていたようですが、ヨシュアツリーの頃から、ネックもしくはセンターをメインで使っているようです。この黒いストラトですが、ピックガードが黒いので70年代後半のストラトかと思っていましたが、73年製のストラトで、ピックガードを交換したものと言われています。ブラッディーサンデイやニューイヤーズデイは、ファットストラトの音かも知れません。

David Gilmour

デヴィッドギルモアのブラックストラトディマジオのファットストラトが使われていたのは有名だと思います。実際に取り付けたのは1976年で79年にダンカンのSSL-1Cに交換されます。SSL-1Cは、SSL-1のカスタムヴァージョンで現行のSSL-5と同じモノのようです。アニマルズの音は、ファットストラトのようです。

◇Rory Gallagher

1980年代以降のロリーギャラガーのストラトのブリッジピックアップもディマジオのファットストラトが使われていたと言われています。フェンダーリードIIのX1ピックアップも試したこともあるようです。

ディマジオFS1

この4人のギタリストは、ストラト使いとしても有名だと思います。イングランドスコットランドアイルランド出身と言うのも興味深いです。70年代後半くらいから、ブライトすぎるストラトのブリッジピックアップをファットストラトに交換するギタリストは、多かったのかも知れません。当時は、ロックはアメリカンよりもブリティッシュの時代ということもあったのでアメリカ人ギタリストの使用例は、見つかりませんでした。マークノップラーはかなりクリーンですが、歪ませたファットストラトの音は、どことなく哀愁を感じさせてくれます。90年代以降は、ロックの中心がアメリカに移ったこと、ストラトによるブルーススタイルが見直されたことによりヴィンテージ系のピックアップが、好まれるようになり、FS-1は忘れられた存在になったのかも知れません。現代的な音では、無いかもしれませんが、今でも魅力的な音だと思います。

Dimarzio HS-3 Pickup

Yngwie Malmsteen

イングヴェイマルムスティーンは、HS-3の使用で有名ですが、初期はFS-1を使っていたとも言われています。FS-1からHS-3に変更したのは、いつ頃なのでしょうか。

◇Dimarzio HS-3

HS-3の国内発売された頃の雑誌広告です。マーチングアウトが発売された頃のようです。トリロジーからHS-3を使っていると言われるのは、マーチングアウトの後に国内販売されたからなのでしょう。

「ドスーンと、腹にくる音がいいぜ。水をふくんだ、濡れた音もいいぜ。乾ききった、トゲトゲした音がいいぜ。ディマジオHS-3。イングヴェイ・マルムスティーンのために作られた高性能VERTICAL HUMBUCKING PICKUPだ。完成のウラ話をしようか。はじめ、プロトタイプを彼にあずけてロードテストをした。いやというほどレコーディングを繰り返し、公演にも、このPICK UPは必ず同行した。そこから、貴重な彼のアドバイスとデータが得られたんだ。我々は、さっそくこれを再デザインして、完璧なものを作った。彼もこれに惚れ込んだ。ま、ディマジオHS-3の高品質と成功のカギはこれだ。」

◇Dimarzio FS-1 or HS-3

90年代のディマジオのカタログにイングヴェイのインタビューがありました。

イングヴェイが、ディマジオのFS-1を使い始めたのはスウェーデンに住んでいた1977か78年のこと、HS-3を使い始めたのは1983年のことでした。FS-1は、スティーラーとアルカトラス(1983年10月リリース)のアルバムで、HS-3はソロアルバムのライジングフォース(1984年11月リリース)から使っていたとのことです。インスピレーション(1996年10月リリース)からはYJM(HS-4)を使ってるとのことです。

◇Dimarzio HS-3の特徴

ディマジオHS-3は、特殊な構造のため直流抵抗値23.7kΩとかなり高いですが、実際の出力93mVとかなり低いです(通常のシングルコイルのTRUE VELVETが130mV、高出力ハムバッカーのTONE ZONEが375mV)。スタック構造ハムバッカーの場合、通常のコイルに比べ2倍のワイヤーを巻く必要になります。そのため、かなり線径の細いAWG45(通常はAWG42)を使っているので抵抗値がかなり高くなっていますが、巻き数はそれほど多く無さそうですので、通常のストラトに近いサウンドが得られています。スタックハムバッカーにヨークを使うところが、ディマジオの特許になります。ダンカンのYJM FURYは、ヨーク無しなのでそこがトーンに影響を与えているのではないかと思われます。

◇Dimarzio HS-3レビュー

オーバードライブの歪み程度ですと、スタックハムではないヴィンテージ系のピックアップと比べると枯れた感じは弱いです。また、線径が細いので高域はロスしますし、ハム構造なので微妙な位相差で音が濁るので、少し物足りなく感じる人も多いのではないかと思います。ただし、ハイゲインセッティングにするとやっぱりイングヴェイっぽい音がするなあと思います。やはり、このピックアップは、イングヴェイファンのためのものでしょう。個人的にはネック側のトーンが好きなので、HS-4(YJM)は必要無いかと思います。